認知症の影響で終日ぼんやり、反応も乏しく寝たきりの毎日
自ら立ち上がり囲碁盤に向かい、
 笑顔で活動に参加できる日々へ
  • T様(仮名)
  • 居住地:東京都世田谷区
  • 年齢:90代
  • 性別:男性
  • 診断名/症状:アルツハイマー型認知症、硬膜下血腫 他
  • 生活環境:施設入所
  • 支援期間:2年

ご本人の希望

「わからないなぁ」

(当初はアルツハイマー型認知症の影響で、答えが定まらず「さー?」や「わからない」という返答に限らられていました)

ご家族の希望

長男 :「少しでも元気になってくれたら」
「どうしたらいいか、なにをしたらいいか分からない…」
長男嫁:「施設でのリハビリが少なく不安」

OTキャンプでの成果

サポート前の状態
クライアントは、転倒後の硬膜下血腫により手術を複数回受け、施設退院後も車いす介助による生活が中心でした。
夜間は転倒防止のため赤外線センサーで行動が管理されており、日中は食事以外の時間をほぼベッド上で寝ている状態で昼夜逆転。
会話は成立せず、終日ぼんやりと過ごす日々が続いていました。
病前趣味だった囲碁はできなくなっており、廃用症候群(フレイル)が進行している状態でした。


サポート内容
目標:施設でも自分らしく、活動に参加できる毎日を送ること

・施設で昼夜逆転せず、規則正しい生活リズムを取り戻す
・施設内アクティビティに参加できるようにする
・歩行や軽い運動など、日常で身体を動かす機会を持つ


施設での生活を見直すところから介入開始。
施設スタッフに協力を仰ぎながら、クライアントの日々の状態、過ごし方などを細かくアセスメントし、まず覚醒している時間を増やすこと最優先の目標としました。

当初は傾眠状態、意思疎通もままならない状況でしたが、病前の趣味であった囲碁には自ら身体を起こせ興味を示したことに着目。すぐにプログラムに取り入れました。
また、施設スタッフにクライアントの一日の過ごし方やその設定、関わり方などを伝授し、「部屋で一日寝て過ごす」という状態から、デイルームでアクティビティに参加できる環境を調整していきました。
加えて、ご状態的に車いすから歩行ベースを目指せると見越すと、歩行を取り入れたプログラムも実施。自室移動から自室前廊下、そして施設周辺の屋外散歩で好きな和菓子を買いに行って食べるというものもプログラムに取り入れました。


サポートの成果
OTとの実践時間から少しずつ覚醒時間を徐々に延ばし、現在昼夜逆転は解消。それに伴い、日常の過ごし方も整い、規則正しい生活リズムを取り戻しました。

病前の趣味であった囲碁は、5分程度のプレイから実践開始。
現在では、4局連続で没頭できるようになり、先日地域大会にも最年長で出場するまでに成長され、OTだけでなく初対面の他者とも交流ができるようになりました。
囲碁を通じて集中力と自発性がみられるようになっただけでなく、意識・記憶も向上が見られている状態です。

また、クライアントには笑顔が増えており、日々自発的な発話が増えています。
こうした実践様子やクライアントの状態、関わり方を示しながら関与することで、施設スタッフとの関係性も改善。施設内のアクティビティ(囲碁、麻雀、ボッチャ、カラオケ、書道など)にも参加し、他利用者とのコミュニケーションも少しずつ可能になっており、現在見かけると「長老」と呼ばれ、親しまれているご様子が見られています。

自室では、赤外線センサーや車いすは不要となり、現在は側方介助によるフリーハンド歩行で移動できるようになりました。

そして、ご家族とも一緒に外食、温泉、買い物、実家訪問などの実践。
笑顔の場面や会話のボキャブラリーも増え、意思疎通がしやすくなったクライアントを見て、「どう接したらいいか分からない」と介助してあげる側だった息子さんも、「認知症だから…」という先入観にとらわれない関係性を改めて確認されていました。

同じ施設での生活でも、その生活の質(QOL)は大きく変化。
OTとの協働をきっかけに囲碁がまた打てるようになり、アクティビティに参加できるようになり、他者との交流や言葉のやり取りも増加。
アルツハイマー型認知症の既往はありますが、日々成長されながら、笑顔あふれる充実した生活を送られています。


利用頻度:月2~4回 (外出時8時間、施設1時間~2時間)
支援期間:2年(発症後6年目より支援開始)

現在の楽しみ

碁を打つこと。美味しいものを食べること。

今後やりたいこと

「京都に行きたいね」

皆様へのメッセージ

(元気の秘訣は)「よく寝て、よく食べて、よく笑うこと 」