適応障害・うつ・パニック障害を経て、短時間勤務から少しずつ社会に戻っていった過程
※実際のご相談内容をもとに、個人が特定されないよう一部内容を調整して掲載しています。
※掲載内容はご本人・ご家族の了承を得て掲載しています。
母親の方にお話を伺いました。
「もう、どうしていいか分かりませんでした」
「あのときは、お手上げのような状態で、
どう関わればいいのか全く分からなくなっていました」
娘は、理想が高く、自己認識も強いタイプでした。
一方で、現実とのバランスを取ることが難しく、
生活面ではサポートが必要な場面も多くありました。
大学卒業後、県外へ就職しましたが、
仕事も私生活も理想通りにいかない状況が続き、
「理想と現実の乖離が大きくて、
全部がうまく回らなくなっていたように感じます」
次第に生活と仕事のバランスを崩し、
パニック症状が出るようになり、休職することになりました。
姉との関係も負担に感じていたため、
外との接点も減り、
ひきこもり状態に近い日々が続いていました。
家族としても、どう関わればいいのか分からなかった
「少しでも何か言うと、
すぐに感情的になってしまって…」
強く言えば関係が崩れてしまいそうで、
腫れ物に触るような関わり方しかできませんでした。
姉との関係もぎこちなく、
家族全体がどう関わればいいのか分からない状態でした。
さまざまな支援を受ける中で、迷いが続いていた
職場では産業医の先生との面談も始まりましたが、
オンラインでのやり取りや短時間の面談では、
深く踏み込んだ関わりが難しい場面もあり、
「本人にとっては、
人と話すこと自体が負担になっているようにも見えました」
病院やカウンセリングも受けたり、
実家に戻ることも含めて、
親としてできることはやってきたつもりでした。
それでも状況は大きくは変わらず、
「なんて言えばいいのか分からなくて、
どうしていけばいいのかも分からない…」
「この先どうなってしまうのか、
ずっと不安でした」
情報はあるのに、
この子にどう関わればいいのかが分からない。
そんな状態が続いていました。
正直、家族としても限界に近い状況でした。
医師からは入院や薬といった選択肢も提示されていましたが、
本人としては、できれば別の形で回復していきたいという思いがあったようです。
自然な対話から始まった関わり

最初は、私自身もたくさん話をするところから始まりました。
娘の状況だけでなく、
これまでの関わり方や価値観についても振り返りながら話していきました。
「話しているうちに、
自分の中でも整理されていくような感覚がありました」
自然な会話の中でしたが、
改めて考えることも多く、
少し頭が疲れるような感覚もあったことを覚えています。
少しずつ動き始めた
具体的には、
本人が対応できなくなっていた職場とのやり取りにも関わっていただきました。
一人では難しい状態だったため、
一緒に進めてもらう形でした。
職場という居場所の環境を整えながら、
本人の状態に合わせて、
自然と生活が回るように整えていただいていたように感じています。
平川さんから定期的にいただくフィードバックの中で、
「娘がいまどう考えているのか、どう感じているのかが、
少しずつ分かるような気がしてきました。
前は何をしたいのかも分からない状態でしたが、
少しずつ考えながら、理解が深まっているように感じました」
親としての見え方も、少しずつ変わっていきました。
娘の成長・変化
関わりが続く中で、
娘の様子にも変化が見られるようになりました。
以前は感情の波が大きく、
反応も強く出てしまうことがありましたが、
徐々に自分の状態を捉えながら、
落ち着いて対応できる場面が増えていきました。
家族との関係の中でも、
衝突が減り、
自分の中でコントロールしながら対応している様子が見られるようになりました。
日常の中でも、
外出や人との関わりに前向きになり、
ヨガやテニスといった活動にも取り組めるようになりました。
また、身の回りのことにも向き合えるようになり、
「人間らしい生活が戻ってきた」という感覚がありました。
無理にではなく、
自分のペースで進める中で、
考え方や行動、物事の捉え方も
少しずつ変わっていったように感じています。
本人と家族の関係性にも変化
関わりが続く中で、
私たち自身の娘に対する理解も深まり、
娘も私たちとの関わり方が分かってきたのか、
以前よりも関わりやすくなっていきました。
お互いを理解しながら関われる場面が増え、
家族としての関係も整っていったように感じています。
社会復帰へ
本人自身も、
何ができて、何に支援が必要なのかを整理できるようになり、
外側の価値観ではなく、
自分の良さを理解した上で行動できるようになっていきました。
その後、短時間勤務を経て、
フルタイムで復職することができました。
復職にあたっては、
職場との関係にも関わっていただき、
無理のない形で働ける環境を整えていきました。
本人の特性を理解し、
活かしてくださった職場にも感謝しています。
「らしさ」が戻っていくということ
振り返ると、
家族だけで関わっていたときには、
難しさを感じる場面が多くありました。
そうした中で、第三者が関わることで、
少し距離を持って状況を見ることができ、
関わり方そのものが変わっていきました。
絡まっていたものが少しずつほどけ、
整い始めると、
それに引き上げられるように、
本人の力がどんどん発揮されていったように感じています。
以前は外側に向いていた意識も、
少しずつ内面に向くようになり、
今は自分らしさを大切にしながら、
等身大で生活している姿が見られるようになりました。
あのときの不安な状態からは想像できないほど、
これからの成長を楽しみに思えるようになっています。
正直、金額だけを見ると高いと感じる部分もありましたが、
振り返ると、
娘のこれからの人生にとって大切な時間に
きちんと向き合えたという意味で、
とても価値のある経験だったと感じています。
この出会いに、心から感謝しています。
※掲載内容はご本人・ご家族の了承を得て掲載しています。
文・構成:渕之上